コンセプトからキャラクターへ:『Skyrim』のアートワークができるまで

コンセプトからキャラクターへ:『Skyrim』のアートワークができるまで

Parker Wilhelm profile pictureBy Parker Wilhelm / Content Manager
2021年11月19日

当然のことかもしれませんが『The Elder Scrolls: Legends』のようなゲームを作るには、想像力が必要です。頭の中で作り上げたファンタジー世界をビデオゲームのような媒体で表現するのは簡単ではありません。最初はあくまでアイデアでしかないものを、どうやって他の人が見たり聞いたり生活できるバーチャルな世界に変えるのでしょうか?

それを支えているのが、コンセプトアーティストたちです。

今回、『Skyrim』に携わったシニアコンセプトアーティスト、Ray Ledererに話をうかがいました。「コンセプトアーティストの役割は多岐にわたります。私たちはマーカーで描いた下書きから、バーの紙ナプキンに書かれたメモ、デジタル作画、造形、そして3Dソフトなどあらゆるものを駆使して、最終的なアセットを手掛ける製作アーティストたちにイメージを伝えていきます」

SKY10 Concept Mage in-body

ほとんどのゲーム、特に『Skyrim』と同等規模のゲーム開発では、Bethesda Games Studiosが現在のプロジェクトの核となるアイデアを事前に練るところから始めます。ここでゲームのトーンやターゲット層が決まるわけです。この段階で大事なのは、アセットを作るアーティストの指針となる、ゲームの雰囲気を表すイメージを制作することです。Ledererによると「私たちは基本的に、早くゲームに実装できるほど、絵ではうまく伝えられない問題も早く修正できると考えている」のだそうです。

SKY10 Instruments in-body

LedererがBethesda Games Studiosで働き始めたのは2007年12月でした。開発チーム向けのアートを描くためにアメリカを横断してきました。「あの時のことはよく覚えています。とんでもない大吹雪が2つも発生している中、SUVに積み込めるだけの荷物と、飼っていた犬と猫を乗せてシアトルからメリーランドまで走ったんです!」

SKY10 Ray Adam in-body

Adam Adamowiczとタッグを組んだLedererは、『Skyrim』全体の見た目や雰囲気を表すコンセプトアートを製作することになります。このタイトルは想像力を思う存分発揮できるものでした。「中にはゲームに実装するのに向かないコンセプトも出しましたが、アートチームのみんなが見事に雰囲気を汲み取ってくれました」

SKY10 Concept Whiterun in-body

コンセプトアートはバケツや食べ物のような細かい小道具から恐ろしいドラゴン、アルドゥインや北方のウィンターホールドを始めとする重要キャラクターや場所まで、様々なもののために作られます。コンセプトの複雑さによって、作成から承認まで数日で済むものもあれば、完璧なものを仕上げるまで数週間以上かかるものもあります。たとえば『Skyrim』最初の公式トレーラーにも登場し、ゲームの重大なモチーフである彫刻が施された巨大な壁画、アルドゥインの壁は、開発の初期段階からかなり時間をかけて作り上げたそうです。

SKY10 Concept Wall in-body

「あの壁は本当に時間がかかりましたね。『Elder Scrolls』のバックストーリーを大きく物語るものだからです。あれは何ヶ月もかけてデザインに肉付けしていきました」。もちろん、アルドゥインの壁のような複雑なコンセプトには、ファンが見つけて喜ぶようなちょっとしたこだわりも込められています。「ノルドたちが破滅を逃れようと道を駆け上がって洞窟に隠れようとしている部分があるんですが、炎に飲み込まれないよう逃げつつ、ビール樽を押している者も混じっています!」

SKY10 Concept Longhouse in-body

『Skyrim』には、膨大な数のキャラクター、クリーチャー、風景、そして小道具が存在する奥深い世界が広がっています。アートチームは様々なインスピレーションとなる資料や分野を参考にしたそうです。Ledererは「個人的にはコロラド州ボルダーに住んでいた頃やアメリカ西部を旅した経験、『ロード・オブ・ザ・リング』、ジーン・ウルフの『The Wizard Knight』シリーズ、『白鯨』まで参考にしました」と当時を振り返ります。「建築様式の一部は60年代後半から70年代初頭までの大地へ帰れ運動中に書かれた本を参照しました。キャラクターやコスチューム、図像のデザインに関してはジョセフ・キャンベルを参考にした部分もあります」

SKY10 Concept Glass Weapons in-body

これは決して珍しいことではありません。どんなアートも、何らかの形で他のものから影響を受けています。それでも、コンセプトがゲームで形になっていく瞬間はわくわくすると言います。「たとえば、アズラの祠はとても楽しく製作しました。どうせ実装する時に縮小されるだろうと思って、わざと巨大に見えるように描いて、そのまま忘れていました」

SKY10 Concept Adam Art 2 in-body

「数ヶ月後、全社プレイテストが行われました。私はあてもなくマップをうろうろしていたんですが、山を登っている最中に突然天候が変わったんです。山を登りながら、しばらく吹雪に巻き込まれていました。すると突然、嵐で悪くなった視界にアズラの祠が飛び込んできたんです! 周囲を見下ろす巨大な建造物を見て、衝撃を受けました。私自身が描いたコンセプトアートが、私の心をこんなにも動かすだなんて考えてもいませんでした。他の方はどうかわかりませんが、開発チームが見事に私のコンセプトアートを形にして実装したのを見て、とても感動しましたね」

SKY10 Concept Azura in-body

こういった発見に興奮を覚えるのは内部の開発チームだけではありません。『Skyrim』のファンコミュニティの中にはこういったデザインをつぶさに観察し、私たちの世界で形にしてくれる人もいます。「コスプレイヤー、武器デザイナー、そして『Skyrim』の小道具や宝飾品を作ってくれているアーティストにとても感謝しています。ファンの皆さんは、いつも最高の作品をたくさん製作してくれているんです!」とLedererは語ります。「マーラのアミュレットを結婚式や婚約パーティーの飾り付けに使ってくれている方々を見るたびに感動しています。楽しみながら『Skyrim』の宝飾品や神殿をデザインしていたので、それが皆さんの人生にとって大事な瞬間に取り入れられているのを見ると、本当に心が温まります」

SKY10 Concept Daedric Armor in-body

『Skyrim』は、ストーリー、キャラクター、世界観づくり、ビジュアルのデザイン、ゲームプレイなど、膨大な要素が結集して作られています。こうしたゲームはコンセプトアーティストも含め、大勢の手で作り出されるものです。Bethesda Games Studiosの次のプロジェクト、Starfieldの舞台は宇宙です。開発チームは誰もが夢中になれる次の新たな世界どころか、銀河を作り出さなければなりません。

SKY10 Concept Adam Art 1 in-body

「銀河を作るなんて今までにない規模です。惑星や文化のバリエーションは今までの作品と同様膨大な数になります」。Ledererは他のメンバーと同じく、次の作品のデザインに取り掛かるのを楽しみにしているようです。「私たちは視覚で伝えるデザイナーです。コンセプトアートにゲームプレイやストーリーが組み込まれていることも多い。だからこそこの仕事は難しくて、興味深いのだと思います。私たちは常に自分を高め、学んでいく必要があるのですから」

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