今月のMOD開発者:Jonx0r
「Wyrmstooth」では独自の物語を楽しめる探索可能な新たな土地が登場します。
『Skyrim』最大級の冒険MODと、その開発の過程についての詳細をご覧ください。
新たなクエストラインに大量のサイドコンテンツなど、「Wyrmstooth」 (PC 、 Xbox 、 Nexus) は盛りだくさんの内容となっています。これほど大規模なコンテンツを作成すること自体がひとつの冒険と言えるでしょう。今回はJonx0r氏をお招きして、MODそのものや、このような大きなプロジェクトにどのように取り組んだのかについてお話をうかがいました。
「Wyrmstooth」には大規模な新エリアと、大量のコンテンツが登場します。計画当初から、これほどの規模のものを作ろうと考えていたのでしょうか?
そうでもありません。実は、最初はシンプルなプレイヤーの家を作ろうと思っていました。ですが、Creation Kitを使うのがあまりにも面白かったので、もう少し規模が大きいものを作ろうかなと考え始めたんです。
当時はひとりで作業を行っていたので、メインクエストの規模をなるべく合理的な範囲にとどめようと思っていました。一年以内にクリアできるぐらいがいいかなと。当初の目標は、やりがいと面白さもあわせ持つ、3時間以上は楽しめるコンテンツを含んだメインクエストを作ることでした。広大なダンジョンを加えようと思ったのは、『Oblivion』のDLC「メエルーンズのカミソリ」に登場するダンジョンに触発されたからです。
最初のバージョンがリリースされたあと、新たなサイドクエストやロケーションが追加されていきました。現在はプロジェクトの作曲を担当するLeon van der Stadt氏とともに、吹替のリマスターと再収録に取り組んでいます。

お気に入りのキャラクター、ロケーション、クエストはありますか?
好きなキャラを選ぶのは難しいですね。アルベルトールは施錠されたゲートの反対側にあるスイッチを見つけるために、プレイヤーにドラウグルを操る変な呪文を使わせます。プレイヤーにとっては、彼が一番印象的なNPCキャラかもしれませんね。島のあちこちで見つけられる日記に残された手がかりを追えば、プレイヤーにかなり印象深い依頼をしてくる秘密のハグレイヴンが見つかるはずです。
お気に入りのロケーションは、本島の北端のデッドシップ・ポイントでしょう。長年にわたってマローダーに略奪されてきた古い難破船が流れついた場所です。ゆっくりと霧がかかる海をプレイヤーがのんびり眺められるように、椅子を配置しました。
一番好きなクエストは「Someone With Backbone」ですね。数バージョンおきにヴロムの戦闘の仕組みを見直して、どんどん難易度を上げています。
主な敵となるヴルトゥルクラーとの遭遇は、どんな風にデザインしましたか?
メインクエストの計画を練っていた時に、メインの敵としてドラゴンを登場させたいと考えました。ドラゴンは知的な生物ですので、飛び回ってランダムに物を壊すだけでなく、意図をもった行動をとるドラゴンもいるはずだと思ったんです。
プレイヤーとヴルトゥルクラーは最初に対面で遭遇させたかったので、太古の上り坂がうってつけの場所だと考えました。「Wyrmstooth」の最近のバージョンでは、プレイヤーはまずドラゴンボーンレンド・シャウトで地面へと叩きつけられてから、ワームズトゥースまで追いかけてドラゴンに戦いを挑むことになります。
こうした直接的な遭遇を設計するうえで難しいのは、プレイヤーのレベルとこれまでに習得したシャウトを考慮しなければならない点です。例えば、レベルの高いドラゴンボーンがドラゴンレンドを使用すれば、ヴルトゥルクラーをその場で倒すのは簡単です。
ワームズトゥースの墓場そのものが、ドラゴンの仕掛けた罠となります。プレイヤーがドラゴンの住処に近づくと、島に引き寄せられて命を落とした冒険者や傭兵が見つかり、ヴルトゥルクラーはその死体を操ってドラゴンボーンを倒そうとします。

新しいエリアをデザインする際は、主にロケーション自体やクエストから手をつけますか? それとも別の要素からでしょうか?
まずはロケーションがすでにある程度形作られている状態で、新しいクエストを作成し、ストーリーを作る方が簡単だと感じています。例えば、プレイヤーがある目的地から別の目的地に行くのにどれくらいの時間を要するのかがわかっていれば、ダイアログ内で何度も登場させるべきクエストに関わる重要なポイントが変わってきます。
新しいロケーションをデザインする時は、レイアウトを図にしてみたり面白そうな特徴を一覧にしたりなど、コンセプトワークからはじめることが多いですね。Creation Kitでは、一番大きなオブジェクトから作ることで新しいロケーションの全貌を描きはじめました。
島をデザインする時は風景編集ツールを使い、エリアベースのオブジェクト生成機能に頼らず、すべてのオブジェクトを手作業で設置していきました。World MachineやWorld CreatorなどのプログラムからハイトマップをインポートできるTESAnnwynのようなツールも便利ですが、セルボーダーのオーバーレイを利用して島の大きさを調整し、Creation Kitで全部手作業でやるほうが簡単だなと感じました。
これから大きなプロジェクトに挑みたい開発者に向けて、何かアドバイスはありますか?
プロジェクトの規模は絶対に考慮しておいたほうがいいですね。
Creation Kitにあまり触れたことがない皆さんが考えた驚くほど大規模なプロジェクトの案などを、様々な掲示板で目にすることがあります。専用のクエストラインが備わった新しいロケーションのMODを作るのは非常に骨が折れる作業なので、そうしたMOD開発者は目ぼしい成果を出せずに途中で挫折してしまうんじゃないかと心配になることがあります。
アドバイスがあるとしたら、「小さなことからはじめよう」ですね。大陸規模のコンテンツをいっぺんに作ろうとするのではなく、少し範囲を狭めて記憶に残るキャラが登場する魅力的なストーリーに注力することが最も大切です。そうして完成したものをベースに、他の人たちと協力して肉付けすればいいんじゃないでしょうか。

MOD開発の一番好きな部分はどこですか?
少なくともナビメッシュではありませんね。
冗談はさておき、段々完成形が見えてきて、時間を費やして作ったストーリーや環境と他のプレイヤーが交わる様子を見ることが、MOD開発の醍醐味だと感じています。
YouTubeやTwitchで他のプレイヤーがMODをプレイする動画を見るのは大好きです。将来的なアップデートで対処すべき潜在的な問題なども見えてきます。
オススメしたいMODはありますか?
同じくオーストラリア出身のMOD開発者Nick Pearceが手掛けた「The Forgotten City」 (PC 、 Xbox 、 Nexus) をオススメします。巧みなオープンエンド型のストーリーとマルチエンディングを体験するのが好きなプレイヤーなら、絶対に楽しめるはずです。彼がここ2年を費やしてこのMODを 独立型のゲーム に再構築したものも、ぜひチェックしてほしいですね。

