スカイリムの音響:タムリエルの環境音ができるまで

スカイリムの音響:タムリエルの環境音ができるまで

Parker Wilhelm profile pictureBy Parker Wilhelm / Content Manager
2021年11月9日

想像してみてください。雪に覆われた山頂でドラゴンと戦っていると、ドラゴンは大きな顎を開き… アヒルの鳴き声が聞こえてくるのを。音響は、『Skyrim』のようなゲームの世界に没入感をもたらすのにもっとも重要な要素のひとつです。

ありがたいことにBethesda Game Studiosには、雪を踏みしめる足音から凶暴なドラゴンの咆哮まで、視覚だけでなく聴覚からあなたが凍りついたタムリエルに住んでいると思わせてくれる音響チームがいます。

Bethesda Game Studiosで働き始めて15年のMark Lampertが最初にサウンドデザイナーとして関わったタイトルは、『Elder Scrolls IV: Oblivion』でした。Lampertは現在オーディオディレクターとしてサウンドデザインチームを率いています。彼らの仕事はBethesda Game Studiosのゲームを音で彩ることにあり、効果音からボイス、作曲家とのオリジナル楽曲の制作までも手掛けます。

SKY10 Sounds Skyrm Lampert in-body

「子供の頃から、コンピューターゲームと音楽が好きでした」と語るLampertは7歳でギターを弾きはじめ、最近はドラムも始めたとのこと。「友達と作曲したものを収録していましたし、大学では4年間音楽制作と音楽エンジニアリングを学びました」

大学を卒業したLampertは、オースティンにあるゲームスタジオが契約録音技術師を探していることを聞き、ピンときたといいます。「それまで、音響とゲームを結びつけて考えたことがなかったので、いわゆるアハ体験でした」

異世界の音

壮大なファンタジー世界が舞台の『Skyrim』は、Lampertたちサウンドデザインのクリエイターにとって特別難しいものだそうです。なぜなら、私達の世界に存在しない魔法や幻獣の音を収録しなければならないからです。Lampertは『Skyrim』の公式トレーラーのために炎を吐くドラゴンの咆哮を作っていた頃のことを振り返ります。

SKY10 Sounds Skyrm Airplane in-body

「制作中はどうすべきかわからず、プレッシャーを感じていました。映像の中心とも言える重要な瞬間で、音楽もどんどん盛り上がっていくシーンなんです。とにかく社内の音声ライブラリを探して、説明に『悲鳴』と書いてあるものを片っ端から試していたことを覚えています」

最終的には音声加工で工夫を凝らして切り抜けたそうです。「あの咆哮は5、6個の音を重ねて作っています。火炎放射器や低音のゴロゴロなどわかりやすい音も使っていますが、そこにジェットコースターに乗って悲鳴を上げる子どもたちの声と、忠誠の軍勢が雄叫びを上げる声を重ねて背筋が凍るような音に仕上げました」

「ジェットコースターの音はピッチをかなり上げ、さらに引き伸ばしておぞましく苦しげな悲鳴に聞こえるように加工し、雄叫びで迫力を足しています。その後はトレーラーの咆哮をベースに実際にゲームで聞けるバリエーションを増やしていきました。かなりよくあることなんですが、開発初期に作ってしっくり来たものが最終的に使われていたり、全体の土台になることが多いですね。それは計画的にできることではなく、自然とそうなるんです。この仕事はこういう予測不能なところが好きですね」

Bethesda Game Studiosのサウンドデザインチームが作るのは、派手な音ばかりではありません。ゲーム世界で聞こえるすべての音に説得力を持たせる必要があります。剣が盾にぶつかる音から草原に吹く風の音まで作り出さなければならなかったLampertとチームのメンバーは、とある方法を採用しました。それは、できるだけ早い段階でゲームに実装できるような音を作って、実際に組み込んでみることです。

「武器など、短いけど強烈な音を作るときに有効な手法です。あんまり考えすぎないで、とにかくゲームに実装してテストできるところまで持っていく。そうすれば、どう調整すれば良くなるかや、作り直したほうがいいかがわかります。最初のバージョンがまったく使えないとわかることも進歩ですからね」

スカイリムの声

時には収録対象が住人たちになることもあります。人の声のサウンドデザインはまったく違う工夫が必要です。Lampertは、『Skyrim』エズバーン役の故Max von Sydowの収録でパリに向かったときのことを振り返ります。「パリの滞在時間はせいぜい20時間ほどでしたが、すばらしいキャラクター(そして最初のトレーラーのナレーション)をすぐに作り出してくれて、いい思い出になりました。数十年に渡って様々な映画に出演してきたベテラン俳優が初めてビデオゲームに出演してくれたんです。その姿勢を心から尊敬しました」

SKY10 Sounds Skyrm Outdoors in-body

「会ってすぐに、『どうすればいいか教えてくれ。"こういうの"はやったことないんだ』と言われたんです」Lampertはコントローラーを持って親指を動かす真似をします。「本当にいい人で、プロ中のプロでした。おかげでエズバーンはすばらしいキャラクターに仕上がりました」

Lampertが『Skyrim』に実装したセリフの中で気に入っているのは、インターネットミームとして思わぬ大流行をした「昔はお前みたいな冒険者だった。膝に矢を受けてしまって…」だそうです。「セリフそのものというより、こちらが想定していたよりプレイヤーが何度も聞くことになったがために、自然と流行していくという現象が起きたことが面白かったですね。他にも帝国兵役のウェス・ジョンソンによる『待て! お前は法を犯した』もよく耳にするので、ゲームの代名詞のようで気に入っています」

楽曲の仕上げ

ゲームを仕上げるために必要なもの、それはもちろんサウンドトラックです。『Skyrim』の多彩なシーンに楽曲を自然に合わせていくのは、想像以上に手間がかかる工程です。音楽はゲームへの没入感を高め、視覚や感覚だけでなく、聴覚に訴えかける場所へと『Skyrim』の世界を近づけます。

10年経った今も、『Skyrim』コミュニティは極寒の地タムリエルを訪れて、その景色や音を楽しんでいます。ミームやフォーラムで「雲地区には頻繁に行くのか?」というセリフは未だに取り上げられますし、『Skyrim』サウンドトラックのカバーは今も作り続けられています。メルボルン大学交響楽団の皆さんは、発売から10年経った今年、なんとリモートで『Dragonborn』を見事に演奏してくれました。

また、当社では11月11日14:00 EST(翌日付04:00 JST)に、ロンドン交響楽団とLondon Voicesが出演する特別な『Skyrim』10周年記念コンサートを開催して10周年を祝います。みなさんもゲームのサウンドトラックだけでなく、『Skyrim』を今まで盛り上げてくれたコミュニティを祝う一大イベントにご参加ください!

『Skyrim』はアート、アニメーション、脚本、音響を作り上げたBethesda Game Studiosの多才なチームだけでなく、プレイヤーコミュニティの熱意のおかげで完成した作品です。そうでなければ発売後10年経った2021年に、家にあるもので『Skyrim』の環境音を再現する動画が作られるわけがありません!

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